金比羅寺。
いよいよこの旅が終わる時がくる。
市街地をぬけて山道を走っていく。
道端に
彼岸花。
花言葉を調べてみるといろいろあって
悲しい思い出。
また会う日を楽しみに。
情熱。独立。とあった。
すべてが刺さった。
そして、到着。
山門をくぐり本堂まではながい階段。
空気が変わっていく。
静まりかえった境内のなかに自分の息と足音だけが響く。
本堂の手前にはまっすぐと力強くのびる杉。
参拝をすませ、登った階段を降りてゆく。
息と足音だけの世界にあらたな音がくわわる。
音へと目をむけるとトンボが。
僕の体をひとつ回って羽を休めた。
羽を休めたトンボが飛び立つのを見届けあとにした。
こうしてこの旅は終わった。
親父の旅の足元を少しでも照らせればと始めた旅。
親父の旅はまだ続いている。
僕の旅も続く。
やれることは多くはない。
だけど、やれることはある。
それをかたちに。
ありがとう。 またな。